小王子

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TUhjnbcbe - 2022/6/13 23:42:00

ああ、星の王子さま! ぼくは、少しずつ、君のメランコリックな人生のことを理解していったのでした。

長いあいだ、君には、夕日を見ること以外に、気晴らしが何もなかったのです。

ぼくがそのことを知ったのは、四日目の朝でした。

そのとき、君はこう言いました。

――ボクは夕日を見るのが好きなんだ。ねえ、夕日を見に行こうよ……。

「夕日を見るには、待たなくちゃ」

――待つって、何を?

「だから、日が沈むのをさ」

君はとても驚いた顔をしました。

それから、大きな声で笑いました。

――そうか、地球は、ボクの星とは違うんだ!

その通り。

アメリカ合衆国で、いまお昼の十二時だとすれば、日が沈んでいる国はフランスなのです。

したがって、いますぐ夕日を見たいなら、一瞬で、アメリカからフランスまで行かなくてはなりません。

でも、残念ながら、いまの科学技術ではとてもそんなことはできません。

ところが、君の小さな星だったら、椅い子すをちょっと動かすだけで、夕日を見ることができます。

つまり、見たいと思ったときに、いつでも夕日を見ることができるのです。

――ある日なんか、四十三回、夕日を見たことがあるよ!

そして、君は、少したってからこうつけ加えました。

――ねえ、悲しいときって、夕日が見たくなるよね……。

「じゃあ、夕日を四十三回見た日、君は四十三回悲しくなったのかい?」

王子さまは、その質問に答えませんでした。

五日目の朝、またまたヒツジにちなんで、王子さまの秘密が明かされました。

王子さまは、突然、前置きもなく、次のように聞いてきました。

――ヒツジって、小さな木を食べるよね? だったら、花も食べるの?

「ヒツジは、目の前にあるものは何だって食べるさ」

――とげのある花も?

「もちろん、とげのある花も食べる」

――だったら、とげは何の役に立つの?

ぼくには、そんなことはわかりませんでした。

そのとき、ぼくは、なかなかゆるまないエンジンのねじを、なんとかして取り外そうとしていたのです。

ものすごく不安でした。なぜなら、故こ障しょうが簡単には直りそうもなかったからです。それに、飲み水もなくなりかけていました。

――ねえ、とげは、何の役に立つの?

王子さまは、いちど質問すると、答が得られるまで絶対にあきらめません。

ぼくは、ねじがゆるまないのでイライラしていました。そこで、口から出まかせを言いました。

「とげなんて、何の役にも立ちやしないさ。バラが意い地じ悪わるだから、とげなんかつけてるんだ!」

――えっ! ほんとなの?

そのあと、しばらく沈黙がありました。それから、王子さまはぼくをなじるようにこう言いました。

――ボクはそんなこと信じないぞ!

バラの花は、弱いし、何も知らないんだ。なんとかして自分を守ろうとしている。

とげをつけていれば、みんなが恐がると思っているんだ……。

ぼくは返事をしませんでした。こんなふうに考えていたからです。

“もし、これ以上やってもねじがゆるまないなら、ハンマーで叩たたき壊こわしてやろう!”

王子さまは、ふたたび、ぼくの考えを邪魔しました。

――ねえ、もしかしてキミは……。

「うるさいなあ!

どうでもいいようなことを聞かないでくれ。

ぼくは、いま忙しいんだ!」

王子さまは、口をあんぐり開けてぼくを見ました。

――忙しいだって?

そのとき、ぼくは、汚れた油で黒くなった手にハンマーを握り、変な形をしたエンジンの上にかがみこんでいました。

――大人みたいなこと言わないでよ!

ぼくは、それを聞いて急に恥ずかしくなりました。

王子さまは、さらに続けて言いました。

――キミは……、なんでもいっしょくたにしてしまうんだ!

ひどく怒っているようでした。金色の美しい髪の毛が震えていました。

――ボクは、赤ら顔のおじさんが住んでいる星を知っている。

そのおじさんは、花の香りをかいだことなんかいちどもない。星を見たことだっていちどもない。人を愛したことだっていちどもない。

いつも、いつも、計算ばかりしているんだ。

そして、一日中、キミみたいにくり返している。

「ああ、忙しい! ああ、忙しい!」

そうして、自分を偉いと思っているんだ。

そんなの人間じゃない。

まるでキノコじゃないか!

「何だって?」

――キノコだよ!

王子さまは、怒りのあまり、青ざめていました。

――何百万年も前から、バラの花はとげをつけてきたんだ。

それなのに、何百万年も前から、ヒツジは花を食べてきた。

そんなふうに何の役にも立たないとげを、どうしてバラがずっとつけてきたのか、その理由を知ろうとすることが、それほど大切なことじゃないって言うの!?

ヒツジとバラがやってきた戦いに意味がないって言うの?

そんなことよりも、赤ら顔のおじさんの計算のほうが大事だって言うの?

ボクの小さな星に、バラの木があって、宇宙でたったひとつの花を咲かせたのに、それをヒツジが食べてしまうんだ。

なのに、それが大切なことじゃないって言うの?

王子さまは、今度は真っ赤になり、こう言いました。

――何百万もの星が輝く宇宙のどこかに、たったひとつだけ、キミの愛する花が咲いている星があるんだ。

だったら、そんな無数の星を眺ながめるだけで、キミは幸せになるんじゃないの?

「この宇宙のどこかに、ボクの愛する花が咲いているんだ……」

って、そう思うんじゃないの?

でも、もしヒツジがその花を食べちゃったら、ぜんぶの星の光が消えちゃったのと同じことでしょ?

それが、大事なことじゃないって言うの?

王子さまは、声を詰まらせ、もうそれ以上、何も言えなくなりました。

そして、突然、泣き始めたのです。

すでに日が暮れていました。

ぼくの手には、もう、工具はありませんでした。

ハンマーも、ねじも、喉のどの渇かわきも、自分の死さえも、もうどうでもよいと思われました。

大宇宙にぽっかりと浮かぶ地球という星の上で、小さな王子さまが泣いているのです。何よりもまず、その子をなぐさめてあげなければなりません。

ぼくは、王子さまを抱き、静かにゆすってあげました。

そして、こう言ったのです。

「君の好きな花は、大丈夫だよ……。

ヒツジの口に口輪をはめればいいんだ。口輪を描いてあげよう。

それに、花のために、覆おおいを描いてあげよう。

それから…‥」

ぼくは、それ以上、何を言えばいいのかわかりませんでした。

すごく、居心地の悪い思いがしました。

どうやって王子さまの気持ちとつながればいいのか、よくわからなかったのです。

涙というのは、とても神しん秘ぴ的てきなものです。

桜吹雪

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